インターステート沿いの小さな「日本」:長距離ドライブで見つけた、日本語の看板の店
Photo: small roadside diner along american highway, via images.stockcake.com
アメリカの車旅には独自の文法がある。ガソリンが減ったら次のインターチェンジで降り、ファストフードのドライブスルーを通り、再び高速に乗る。それが「正しい」車旅の形だと、長い間そう思っていた。
変わったきっかけは、ロサンゼルスからデンバーまでの長距離運転だった。12時間のドライブの途中、ネバダ州の小さな町でガソリンを入れていたとき、道路の向こう側に小さな看板が目に入った。手書き風の「うどん」の文字。半信半疑で店に入ると、カウンターにいた日本人女性が「いらっしゃいませ」と。それだけで、目の奥が熱くなった。
車輪の上で働く日本人たち
その後、全米各地のドライブルートで似た場所を探すようになった。すると見えてきたのが、日本語を話すドライバーたちの「地図」だ。
シカゴとセントルイスを結ぶルート55号線沿いには、日本食のメニューを置くトラックストップがある。日本人トラック運転手たちが情報を共有し、自然と集まるようになった場所だという。週末は日本語の話し声で賑わい、店内の小さな掲示板には「○○まで相乗り募集」や「日本語の本、無料で差し上げます」といった手書きの紙が貼られている。
出張で中西部を回る営業マンたちも、こうした場所を拠点にしている。「契約が取れなくても、ここで味噌ラーメンを飲めば復活できる」と笑う人は、もう10年以上このルートを走り続けているそうだ。
高速を降りる、という選択
アメリカの車旅文化では、インターステートを降りることは「遠回り」であり「時間の無駄」とされがちだ。でも、こうしたスポットを訪れるたびに思う。高速を降りることは、ただの寄り道ではなく、地図に載らないコミュニティに出会う行為だ。
テキサスの田舎町では、日本食レストランを兼ねたガソリンスタンドを見つけた。店の奥には日本の雑誌の山があり、常連同士が「最近の日本のテレビ、見てる?」と話していた。オーナーは「遠くから来た日本人が一口食べに来てくれるだけで、やってる甲斐がある」と言う。
あなたのルートにも、きっとある
探し方のコツはシンプルだ。大きな町の郊外、日系人や日本企業の進出が多いエリアの近く、大学都市の周辺。Googleマップで「日本食」「Japanese market」と検索し、評価の数より「レビューの内容」を見る。「homesick(ホームシック)」という言葉が書かれたレビューがある店は、たいてい外さない。
次のロードトリップ、計画に少しだけ「寄り道」を組み込んでみてほしい。高速を降りて数分。そこには、同じように長い道を走り続けている誰かの暮らしが、温かい味とともに待っている。